僕が小学生の頃の話なので、もう15年ほど前の話になります。
当時、我が家ではメスの三毛猫を飼っていました。名前は『ミケ子』。人懐こくて器量のいい猫だったので、鈴の付いた首輪を少ない小遣いをはたいてまで買ってあげたのを覚えています。
或る晩、酒癖の悪い父が家で晩酌をしていました。
その場に僕もいたのですが、幼いながらに父の酒が進むにつれて、徐々に目が据わってきて彼が悪酔いし始めたことを敏感に感じ取っていました。
そこへ運悪くミケ子が現れたのです。
ミケ子は鍋を叩き付けられて殺されてしまいました。
僕はその晩、父を怨んで泣きながら寝たものです。 翌日、父は酔いが覚めた後、さすがに反省してミケ子の亡骸を庭に埋葬していました。
当時の我が家では、家族全員同じ部屋で寝ていたのですが、その晩、僕は一生忘れられない恐ろしい光景を目の当たりにしました。
深夜、父の呻き声で目が覚めました。何かと思って父を見ると、汗だくでうなされている父の周りを、頭の半分が潰れた血塗れのミケ子が「ちりん、ちりん」と鈴を鳴らしながら、ぐるぐると駆け回っているのです。数分その状態が続いたと思います。
その時、僕は恐ろしいという感情よりも、ミケ子が蘇生し墓から這い出して家に戻ってきたのか、それとも目の前のそれが死んだミケ子の怨霊なのか判断できず、その光景をただじっと見つめていました。
気付いたら朝になっていました。
父はもう起きている様で、そこにはいませんでした。
僕は、ミケ子の墓を見に行きました。
すると、昨日は無かったはずの線香が立ててありました。線香は、まだ燃え尽きてはいませんでした。恐らく父が立てたのでしょう。
墓を調べてみても、そこにはミケ子が這い出た様子はありませんでした。墓を少し掘り返すと、毛の一部が見えてきたので、また埋めました。やはり、死んでいるのです。
次の日の深夜、同じ時間に目が覚めました。
やはり、父はうなされていました。そして、父の胸の上には、頭の潰れた三毛猫が丸くなって座っており、汗だくの父を物言わず見下ろしているのです。
僕が「ミケ子」と呼ぶと「ニャー」と鳴いてから消えました。
当時、我が家ではメスの三毛猫を飼っていました。名前は『ミケ子』。人懐こくて器量のいい猫だったので、鈴の付いた首輪を少ない小遣いをはたいてまで買ってあげたのを覚えています。
或る晩、酒癖の悪い父が家で晩酌をしていました。
その場に僕もいたのですが、幼いながらに父の酒が進むにつれて、徐々に目が据わってきて彼が悪酔いし始めたことを敏感に感じ取っていました。
そこへ運悪くミケ子が現れたのです。
ミケ子は鍋を叩き付けられて殺されてしまいました。
僕はその晩、父を怨んで泣きながら寝たものです。 翌日、父は酔いが覚めた後、さすがに反省してミケ子の亡骸を庭に埋葬していました。
当時の我が家では、家族全員同じ部屋で寝ていたのですが、その晩、僕は一生忘れられない恐ろしい光景を目の当たりにしました。
深夜、父の呻き声で目が覚めました。何かと思って父を見ると、汗だくでうなされている父の周りを、頭の半分が潰れた血塗れのミケ子が「ちりん、ちりん」と鈴を鳴らしながら、ぐるぐると駆け回っているのです。数分その状態が続いたと思います。
その時、僕は恐ろしいという感情よりも、ミケ子が蘇生し墓から這い出して家に戻ってきたのか、それとも目の前のそれが死んだミケ子の怨霊なのか判断できず、その光景をただじっと見つめていました。
気付いたら朝になっていました。
父はもう起きている様で、そこにはいませんでした。
僕は、ミケ子の墓を見に行きました。
すると、昨日は無かったはずの線香が立ててありました。線香は、まだ燃え尽きてはいませんでした。恐らく父が立てたのでしょう。
墓を調べてみても、そこにはミケ子が這い出た様子はありませんでした。墓を少し掘り返すと、毛の一部が見えてきたので、また埋めました。やはり、死んでいるのです。
次の日の深夜、同じ時間に目が覚めました。
やはり、父はうなされていました。そして、父の胸の上には、頭の潰れた三毛猫が丸くなって座っており、汗だくの父を物言わず見下ろしているのです。
僕が「ミケ子」と呼ぶと「ニャー」と鳴いてから消えました。
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