テープの声

2006年8月25日
これは、サークルの先輩(Y)が経験した話。

北海道の支笏湖 周辺には20年位前に温泉宿として栄えた場所があった。が、近くに洞爺湖温泉街が繁盛し始め客足も減り次第にその存在も人々から忘れ去られていった・・・。現在もその場所には廃屋として当時の宿が残っている。

Yは仏教系の短大に通っていたからなのか、普段から不思議な体験をしていた。
その一つに、実家(静岡県)に帰った時の話がある。
Yは元来食いしん坊で、正月、久し振りに実家に帰りホクホクしながら親が作ってくれた自分の好物をたらふく食べ、もうこれ以上食べられないと思った時、親が「あら、そう言えば、冷蔵庫に貴方の好きな○○のケーキがあるわよ。」と言われ、(ガーン、もう食べられないよ・・・涙)と言う状況だったので、「明日食べる」と言ってその日は床に着いた。
その日は何だか寝付きが悪く1時間ほどウトウトやっていた・・・と、遠くの方から、”ガシャ、ガシャ”と硬いものがぶつかり合うような音が聞こえてきた。
(何だろう?)気にはなったが大して興味はなかったので眠ろうと思っていると、その音が段々と大きくなって自分の方に近づいてくる、(!!・・落ち武者?)Yは不安に思ったが、音は外からするのでまだ安心していた。
が、音から前より数が増えているように聞こえた。恐いので布団を頭からかぶり、早く音が聞こえなくなる事を祈っていた。と、とうとう音が自分の部屋の中に入ってくるのを感じた
(キャ〜!何よー、もういやだよー)と思っていると、自分の頭の上にその音の主が近づく気配がした(う〜恐いよー、誰なのー)と、ガシャガシャと重いものを身につけた6〜7名の人間が、自分の周りを回り始めたと布団の中で感じていた。
Yは夢中で(ナンニョウホオレンゲキョウ。あっ!?これってこういう時は駄目なんだっけ?ナムアミダブツ)等と唱えていたが一向に彼らが去っていく気配が無い。
(あ〜、もうやめてよー、私まだ死にたくないのー!明日ケーキを食べなきゃならないんだからー、ケーキを食べるまで死ねないの!!)
と考えていると、次第に音は小さくなり人の気配も消えていった。と、話がそれてしまったが、先ほどの廃屋の話を続けよう。

その廃屋に、Yと他2人の計3人で肝試しに行くことになった。廃屋ともなると悪い噂が付きモノでそこも例外ではなかった。宿がつぶれてからその場所で首を吊った自殺者がいた。その場所に肝試しに行って気が狂れた人がいる。だの噂は尽きなかった。
3人はAM0:00恐いもの見たさにその場所を訪れた。ビデオを撮ろうと言うことになったのだが、変なものが映っていたら嫌だ。という事で、テープレコーダーで録音する事にした。録音のスイッチをオンにして3人は廃屋に入っていった・・・。
「お邪魔しまーす。」もちろん返事なんかあるわけが無い。それから色々とキャーキャー、ピーピー言いながら、その建物を一周した。
「なーんだ。全然恐くないじゃん。」
「そうだよねー。」「期待して損した。」などと話しながら「お邪魔しましたー。」とその場所を後にした。

帰ってから「あっ、テープ録音してたよねー、聞いてみようか。」と録音してたテープを巻き戻し、再生してみた。

”ズズ・・・ジー・・・”

少し雑音が入っている。

”「お邪魔しまーす。」・・・・ジー・・・ズズ・・・・ハーイ・・・”

「!!今変な音入ってなかった!?」Yはそう言ったが、「えー、入ってないって、気のせいだよ。もう一回巻き戻してみる?」と他の二人は気づいていない。
「うん、そうしてよ。」と、もう一度聞いてみることにした。

”「お邪魔しまーす。」・・・・ジー・・・ズズ・・・・ハーイ・・・”

(!!!)今度は他の二人も気づいたらしい、かすかに小さな声で”ハーイ”と言う音が入っている・・・。

「嫌だー、Y、ふざけてあの時返事したでしょ?」と言われたが、Yはそんな事していない。他の二人が返事をしたのだろう?と逆に聞いてみても二人ともしていないと言う。
その後、特に変わった音も無くテープは回っていた。

「さっきの何だろうね・・・気のせいだよね。空耳だよ。」などと言い合っていると、テープは最後の方に近づいた・・・、

”「お邪魔しましたー。」・・ジー・・ズ・・とっとと帰れ!!・・・”

「!!!」3人は恐ろしくなり、そのテープをお寺に持って行き、供養し除去してもらった。

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