ジェットフォイルという船をご存知でしょうか?

船底に「T」の字を逆さにしたような形の翼を付け、後ろから海水を吹き出すことで船体を浮上させ、時速80キロは軽く出せるという「超高速船」です。
操縦の手順は航空機並みの複雑さ、しかも船の世界では常識破りのスピードなのでブリッジ(操縦室)には必ず3、4人か、それ以上の要員がいます。見張りが欠かせないのです。他の船なんかにぶつかったら確実に大事故ですから。(急ブレーキや急旋回ができるのも特徴ですが、これをやると船内の人が無事ではすみません・・)
双眼鏡での監視、レーダーによるチェックで船や流木との衝突は避けられますが、ときには、どうしても避けられない相手がいます。
イルカやクジラです。
群れを成して潜っては現れ、また潜ってはとんでもないところに現れるとか、時には近寄ってくるのが彼らの習性。
クジラなら「潮吹き」で見つけられる事もありますが、イルカだけはお手上げ。
見つけて、警笛を鳴らしてもどいてはくれません。
200メートルもあれば急ブレーキがかけられますが、直前に出てこられたら、間に合いません。
こんなとき、船長は「覚悟」を決めます。合掌する航海士もいます。なぜ?

船底の翼は高速航行のために作りは「刃物」そのもの。その「刃」が時速80キロ以上の猛スピードでイルカの群れに突っ込んでいくのです・・・・地獄の始まりです。
翼に当ったイルカは瞬間に「三枚おろし」か「ミンチ」になります。驚いて飛び上がったイルカは船体に激突して「玉砕」。モニターを通して響き渡るイルカの悲鳴・・
船を止めようものなら、吸水装置がイルカの肉片を吸い込んで詰まってしまうため、かわいそうでも走り抜けるしかありません。船体や窓ガラスに血しぶきが飛び、後ろから吹き出す海水はピンク色。かなり遠くまで肉片や内臓がばらまかれ、船の周りは真っ赤になります。オルカに襲われたなどというレベルではありません。
文字どおりの「血の海」になるのです。

時間にして数秒で「地獄」は終わります。
乗客には「魚の群れにぶつかったので・・」と説明はしますが、船内の空気は重苦しくなるそうです。
ある船長は言います。

 「間に合わないと判断したら、進路は変えません。犠牲を最小限にするためです。スピードも落としません。半端なスピードでは苦しませるだけですから・・でもね、アレをやってしまうと操縦クルーは顔が別人のように強張ってしまうのですよ。鏡を見るのが心底怖いです。そこに見えるのは鬼の顔ですから」

あまりの「悲劇」にたまりかねたのか、「不採算」という理由をつけて航路自体を廃止した会社もあるそうです。

コメント

頭文字☆D
頭文字☆D
2006年8月18日17:51

リンクありがとうございま〜す
ちょっと遅かったかもしれませんが^^;
こちらからもくっつけさせていただきます〜
イルカ…(´・ω・`)

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