自殺行為
2006年4月12日これは、私の大学時代の友人の兄貴の体験談です。
その兄貴が高校3年の夏休みの事。休みも残り4日となり、いつもつるんでる5人のメンバで1泊の釣り旅行に行く事になった。
翌日、彼らは電車で三重の渓谷向かった。昼間は晴れていたものの、あい憎夕方から雨が振り出した。勿論、彼らはテント持参だったが、当時のテントにはフライシート等付いておらず、強い雨はテントの中にまで染み出て来る様になった。
雨宿りにもならない状態になり、仕方なく彼らは近くのお寺に事情を話し、一晩世話になることになった。
持参した夕食も済み、釣りの話も底を尽き、自然の流れで恐い話が始まった。
2時間位した処で、その兄貴はトイレに行きたくなったが、トイレは寺の外。傘をさして、暗い嫌な雰囲気の漂う場所まで行かねばならなかった。
しかし、兄貴は「誰かに一緒に行ってくれない?」とは言えなかった。その友人のうちの1人「K」が必ず「F、お前これ位でビビッてんのか?情けねーなー」と必ず自分を罵る事が判っていたから。
しばらくして、別の友人が「俺、小便したいんだけど、誰か一緒に行かねー?」と有志を募った。兄貴にとっては天の助け!ここぞとばかり「じゃ、行くか」と2人で立ち上がると、案の定Kは「お前等度胸ねーなー!2人仲良くごゆっくり!」と言った。兄貴としては、発起人が自分でない分、気が楽で2人してそそくさと傘をさしてトイレに向かった。
そのトイレは小屋の中に個室が一つある古いトイレだった。一緒に行った友人も「(俺が)出て来るまで、絶対にそこに居てよ!」と2人して約束をしなければ怖くて小便も出来ない程薄気味悪いトイレだった。その友人は、用を足しながら「あいつ、いつもああだ!ハッキリ行ってホントは今日も一緒に来たくなかった!」と憤慨していた。
部屋に戻る途中、Kの度胸を試す意味で、Kが自分でトイレに行くと言い出すまで、他の4人は我慢しようと云う話になった。
2人で部屋に戻って、K以外の残る2人にこの事を耳打ちし「じゃ、俺等も行って来るよ」と、Kを残して外に出て行った。
Kは「お前等、子供じゃねーんだからさー」と相変わらずの嫌味。
行った2人も戻ってきて、さっきの怪談の続きが始まった。その時の怪談は、場所や雰囲気が妙にマッチし、皆の話にも熱が入り、かなり盛り上がったとのこと。
当時の事を兄貴は「恐すぎて泣きそうになった」と言っていた位恐い怪談大会だった様だ。
夜も1時を回る頃、さっきからKが無口になっていることに気付き、「K、どうした?」と聞くと
「何か、あんまり恐くないんで眠くなって来た。もう寝ようぜ。俺、小便してくるけど...」
誰も後には続きません。「今、トイレに行くのはヤバイんちゃうか?出るぞ!」と皆が脅すと「何が出るぞ!だ!俺はそれ位じゃ全然ビビらねーよ」
と言いながらKは1人で出て行った。部屋の中から、雨の中を1人でトイレに向かうKの姿を見ながら、兄貴達は「強がりとは言いながら、この状況で1人であの薄気味悪いトイレに行けるのは凄い!」と関心し、また畳の上に座って怪談を始めた。熱心に話す者、必死に聞く者。両者ともに緊張の中、ふと1人が「あれ、Kは?」と口を開いた。
確かにKは戻って来ていない。もう15分位経っている。「きっと、俺等を脅かそうって作戦だろ?」と一同再び怪談を再開。
さらに15分後「やっぱ、おかしいよ。俺等を脅かす為に30分も待てる奴じゃないよ」彼らは立ち上がり、離れたトイレ小屋に目をやる。シトシト降りの雨の中、ぼんやりとトイレ小屋の薄灯りが見える。
「ちょっと行ってみるか?」と云う事になり、4人で恐る恐る小屋に向かった。
小屋の外から「K〜!K〜!」と叫ぶが中からは何も聞こえない。小屋に入って、個室のドアをノックする。反応無し。
木のスライド取っ手に手を掛けると動かない。鍵が掛かっている。「おい、やっぱK中に居るよ。」「おい、K!俺達驚かねーよ。早く部屋に戻ろーぜ!」
反応無し。トイレの坪に落ちたか?とも思ったが、便器は小さく、とてもKの身体は通らない。
「俺等を脅かそうとして鍵締めて、Kは今頃部屋の中から俺等の様子を伺って笑ってんじゃねーか?」と誰かが言い出した。
でも、待て。このトイレは木の壁に覆われてる。上にも下にも人の通れる隙間は無い。あと考えられるのは、中に有った窓だ。でも、あの窓は日を通すだけで動かない窓だったはず。
多分、Kは何らかの手段で、自分達を脅かそうとしてるんだろう...と云う曖昧な意見で纏まった。
彼ら4人は、大袈裟に驚いて逆にKを脅かそうか?それとも全く無視しようか?等、口々に愚痴りながら小屋を出た。
一応、裏に回ってみるか?と友人の1人と、その兄貴は小屋の裏へ回ってみた。
トイレ小屋の窓から薄灯りが漏れているのを確認。その時、前を歩いていた友人の足が止まった。と、同時に兄貴の目にも信じられない光景が飛び込んで来た。
何と、トイレの割れた窓ガラスにKの首が突き刺さり、白目を向いてKが死んでいた。
トイレで何が起こったかは、謎であるが、恐らく1人で用を足している時に、色んな怪談を思い出し、恐怖の余りにパニックが極限に達し、慌てて窓から外に出ようとして足を滑らせて、そのまま...と、皆は語っているそうである。
あとから聞いた話では、小屋の裏の様子を見に行った自分達を他の2人が気付くまでに20分位掛かったらしい。
2人が兄貴等を見た時、その兄貴と友人は白目を向いたKの顔を、雨の中ジッと睨んでいたと云う。
私の友人(兄貴の弟)は、その当日、Kがトイレに行く間際の写真を見たそうだが、その時点で既に恐怖におののいているのがハッキリと判ったと話している。
その兄貴が高校3年の夏休みの事。休みも残り4日となり、いつもつるんでる5人のメンバで1泊の釣り旅行に行く事になった。
翌日、彼らは電車で三重の渓谷向かった。昼間は晴れていたものの、あい憎夕方から雨が振り出した。勿論、彼らはテント持参だったが、当時のテントにはフライシート等付いておらず、強い雨はテントの中にまで染み出て来る様になった。
雨宿りにもならない状態になり、仕方なく彼らは近くのお寺に事情を話し、一晩世話になることになった。
持参した夕食も済み、釣りの話も底を尽き、自然の流れで恐い話が始まった。
2時間位した処で、その兄貴はトイレに行きたくなったが、トイレは寺の外。傘をさして、暗い嫌な雰囲気の漂う場所まで行かねばならなかった。
しかし、兄貴は「誰かに一緒に行ってくれない?」とは言えなかった。その友人のうちの1人「K」が必ず「F、お前これ位でビビッてんのか?情けねーなー」と必ず自分を罵る事が判っていたから。
しばらくして、別の友人が「俺、小便したいんだけど、誰か一緒に行かねー?」と有志を募った。兄貴にとっては天の助け!ここぞとばかり「じゃ、行くか」と2人で立ち上がると、案の定Kは「お前等度胸ねーなー!2人仲良くごゆっくり!」と言った。兄貴としては、発起人が自分でない分、気が楽で2人してそそくさと傘をさしてトイレに向かった。
そのトイレは小屋の中に個室が一つある古いトイレだった。一緒に行った友人も「(俺が)出て来るまで、絶対にそこに居てよ!」と2人して約束をしなければ怖くて小便も出来ない程薄気味悪いトイレだった。その友人は、用を足しながら「あいつ、いつもああだ!ハッキリ行ってホントは今日も一緒に来たくなかった!」と憤慨していた。
部屋に戻る途中、Kの度胸を試す意味で、Kが自分でトイレに行くと言い出すまで、他の4人は我慢しようと云う話になった。
2人で部屋に戻って、K以外の残る2人にこの事を耳打ちし「じゃ、俺等も行って来るよ」と、Kを残して外に出て行った。
Kは「お前等、子供じゃねーんだからさー」と相変わらずの嫌味。
行った2人も戻ってきて、さっきの怪談の続きが始まった。その時の怪談は、場所や雰囲気が妙にマッチし、皆の話にも熱が入り、かなり盛り上がったとのこと。
当時の事を兄貴は「恐すぎて泣きそうになった」と言っていた位恐い怪談大会だった様だ。
夜も1時を回る頃、さっきからKが無口になっていることに気付き、「K、どうした?」と聞くと
「何か、あんまり恐くないんで眠くなって来た。もう寝ようぜ。俺、小便してくるけど...」
誰も後には続きません。「今、トイレに行くのはヤバイんちゃうか?出るぞ!」と皆が脅すと「何が出るぞ!だ!俺はそれ位じゃ全然ビビらねーよ」
と言いながらKは1人で出て行った。部屋の中から、雨の中を1人でトイレに向かうKの姿を見ながら、兄貴達は「強がりとは言いながら、この状況で1人であの薄気味悪いトイレに行けるのは凄い!」と関心し、また畳の上に座って怪談を始めた。熱心に話す者、必死に聞く者。両者ともに緊張の中、ふと1人が「あれ、Kは?」と口を開いた。
確かにKは戻って来ていない。もう15分位経っている。「きっと、俺等を脅かそうって作戦だろ?」と一同再び怪談を再開。
さらに15分後「やっぱ、おかしいよ。俺等を脅かす為に30分も待てる奴じゃないよ」彼らは立ち上がり、離れたトイレ小屋に目をやる。シトシト降りの雨の中、ぼんやりとトイレ小屋の薄灯りが見える。
「ちょっと行ってみるか?」と云う事になり、4人で恐る恐る小屋に向かった。
小屋の外から「K〜!K〜!」と叫ぶが中からは何も聞こえない。小屋に入って、個室のドアをノックする。反応無し。
木のスライド取っ手に手を掛けると動かない。鍵が掛かっている。「おい、やっぱK中に居るよ。」「おい、K!俺達驚かねーよ。早く部屋に戻ろーぜ!」
反応無し。トイレの坪に落ちたか?とも思ったが、便器は小さく、とてもKの身体は通らない。
「俺等を脅かそうとして鍵締めて、Kは今頃部屋の中から俺等の様子を伺って笑ってんじゃねーか?」と誰かが言い出した。
でも、待て。このトイレは木の壁に覆われてる。上にも下にも人の通れる隙間は無い。あと考えられるのは、中に有った窓だ。でも、あの窓は日を通すだけで動かない窓だったはず。
多分、Kは何らかの手段で、自分達を脅かそうとしてるんだろう...と云う曖昧な意見で纏まった。
彼ら4人は、大袈裟に驚いて逆にKを脅かそうか?それとも全く無視しようか?等、口々に愚痴りながら小屋を出た。
一応、裏に回ってみるか?と友人の1人と、その兄貴は小屋の裏へ回ってみた。
トイレ小屋の窓から薄灯りが漏れているのを確認。その時、前を歩いていた友人の足が止まった。と、同時に兄貴の目にも信じられない光景が飛び込んで来た。
何と、トイレの割れた窓ガラスにKの首が突き刺さり、白目を向いてKが死んでいた。
トイレで何が起こったかは、謎であるが、恐らく1人で用を足している時に、色んな怪談を思い出し、恐怖の余りにパニックが極限に達し、慌てて窓から外に出ようとして足を滑らせて、そのまま...と、皆は語っているそうである。
あとから聞いた話では、小屋の裏の様子を見に行った自分達を他の2人が気付くまでに20分位掛かったらしい。
2人が兄貴等を見た時、その兄貴と友人は白目を向いたKの顔を、雨の中ジッと睨んでいたと云う。
私の友人(兄貴の弟)は、その当日、Kがトイレに行く間際の写真を見たそうだが、その時点で既に恐怖におののいているのがハッキリと判ったと話している。
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