般若心経

中学時代、私は毎日と言って良いほど、金縛りにあってはポルターガイストの様な経験をしていました。眠りにつくのが怖くて、不眠症になったこともあります。
そんなある日、心配した母が霊媒師の勧めで般若心経を唱えるよう助言をしてくれました。その霊媒師曰く、般若心経で金縛りが解けるということでした。早速、その日からお経を覚え、金縛りにあう備えをしました。
やがて予想通り、眠っていると体が動かなくなり、嫌な悪寒が鳩尾に走ったと思った次の瞬間、突然1人の男が現われ、寝ている私の周りをグルグルと歩き始めたのです。
私は身動きのとれないまま、非常な恐怖感と必死に戦いながら、心の中でゆっくりと大きな声で例の般若心経を唱え始めました。すると、今まで私の周りを歩いていたその男の存在が一瞬消えたと思ったら、何とその直後、彼は私の耳元に口を寄せて、「観自在菩薩・・・！」と一緒にお経を怒鳴り出したのです。
あまりの恐ろしさに私は寝たまま失神してしまったのでしょう、気付いた時にはもう夜が明ける時間でした。